開けずの手紙2ーデジタルー
悪夢甦る③


奈緒子は和田からファイルで送られてきた、アライブに届いた九州在住者のメール3通を何度も読み返した。

”このメール…、また聞きを含めた情報提供だから信ぴょう性は高くないかもしれないけど、何しろあっちでの動きが生々しく伝わってくる。何しろ、私は三浦美咲の時は最前線を踏んだのよ。鬼島則人の世界を覗いたと言ってもいいわ。だからこのメールで綴られてること、肌感覚で伝わるよな気がするの…”

この奈緒子に妙なリアル感を植え付けたそのメールは、久留米市郊外に住む高校1年の女子生徒が数回に渡ってアライブに送信したものだった。

以下はその抜粋になる。


***


『初めまして。福岡県久留米市内に住んでいる高1の女子です。そちらのサイトで、”開けずの手紙”に呪いを送っていたという柳の木が枯れたとかで、連鎖自殺は沈静化していくのではと言う記事を拝見しましたが、今月に入って北九州の私立高校で生徒50人以上の自殺者が出ました。地元では、”手紙”を受け取った子が呪われて、自殺に追い込まれてるって噂が浸透しています。アライブさんも例の手紙の呪いだと思われますか?まずは見解をお聞かせいただければ幸いです。9月××日』

『…そうですか。くびれた柳の大木に代わるモノが他にある可能性ってことですね。それなら、友達のまた聞きですが、手紙を受け取ったらしい子が夢の中で柳じゃない、まだら模様の大木がどうのって話を耳にしています。それと、例の私立高校はあの後も10人近く、女子生徒を中心に自殺者が続いてるそうです。私を含め、みんな、いつ自分の周りに連鎖するかと不安を抱えています。9月××日』

アライブの鷹山は、この少女からの情報には特に注目を引かれ、メールが届く都度、鷹山の方も差し障りのない範囲で、情報提供とアドバイスを添えた親身なメールを返信していた。





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