開けずの手紙2ーデジタルー
悪夢甦る⑤


奈緒子がひと際衝撃を受けた、その女子高生から送信されたメールは、10日ほど前のものだった。

『…これは中学時代の先輩からの又聞きです。福岡市内の男子高校生が、手紙は届かないのにいきなり変な夢を見たあと、1週間後に飛び降り自殺したと言うのです。他にも北九州一体では、その類の噂が飛びかってて、私の地元では、夢の中で呪いの手紙を読まされて自殺に導かれるって説が広まっています。先週には、私の高校も二人目が自殺したようなんです。鷹山さん、私はもう怖くて怖くて気が変になりそうです。早く九州に来てください!11月×日』

このメールの返信で、鷹山は九州に出向く日程を決め、少女にその旨を伝えた。


***


”和田さんは、手紙を省略したペーパーレスでも100夜殺しの呪いを生むこの現象は、鬼島の施した呪いの発効装置が進化を遂げたものだという見方をしていたわ。要するに呪われ手側からすれば、開けずの手紙を開封しないで呪いを封印するという選択肢を奪われた形になる。でも、この点を鷹山さんは違った角度で分析していたらしい…”

奈緒子は、先ほど和田と交したラインでのやり取りを思い返した。

≪では、鷹山さんはこのペーパーレス化は鬼島が最初から呪いのシステムへプログラムとして盛り込んでいたのだろうという見解なんですか?≫

≪はい。言わば鬼島のヤロウとしては、第2ステージの標準装備として当初から折り込んでいたではないかと。加えて、鷹山さんは、ヤツが”他の目的”も計算ずくでの仕込みではないかと言っていました≫

この時奈緒子は、漠然とながら、ふとある思いが頭に浮かんだ。
それは、鷹山の睨んだ鬼島則人の”計算”の先にあるものこそ、彼の仕掛けた次なるゲームを攻略するカギになるのではないかという予期であった…。





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