開けずの手紙2ーデジタルー
不安マックスの少女たち①


土曜日のテレビによる一斉報道は、当然ながらコトの震源地である北九州市内でも衆目に届くこととなった。

だが、この日は第一報ということで、かなり淡白な報道にとどまっていたこともあり、住民たちは総じて冷めた目で捉えていた。

もっとも、”当事者”たる地元の女子高校生の間では、ここ2か月ほど、連鎖自殺の話題で沸騰しており、当該のテレビ報道が予想通り(?)表面をなでる程度だったということで、かえって彼女らの関心度合いは一層高まるという現象に陥る…。

そしてこの日も、地元の少女たちは学校内はもとより、その行き帰り道、寄り道したファーストフード店内でと、直近情報を飛び交わせていた。

この夜の北九市内某ファミレスでも、課外授業のミーティングと称して集まっていた女子高校年生4人が、”本題”を横において、連鎖自殺関連の話題に集中し、その熱は帯びる一方だった。


***


A子:わー、今ラインで最新情報きよった。パンデミックの発端だった深浦総合、ついに100人超えよったって。

B子:ああ…、深浦総合の3年と付きおおちょる子、A子と中学一緒やったもんね。

C子:でもさあ、2か月近く前には20日かそこらでいきなり50人立て続けやったのに、要はペース落ちてるってことにならん?

D子:都市伝説系サイトの通りなら、それ、百夜殺しで50夜とかそれ以上耐えた子がさ、死んじゃう時、まとめて数十人に手紙出すんやろうから、たまたま”大口”が重なりよったってことでしょ。その呪いの説が本当なら、数字のマジックみたいなもんもあるんとちがう?

A子:うん…、それ、言えてるわ。深浦総合はD子の言う大口が二人くらい続いた後、そう日をおかずに大量自殺だとしたらさ、その後呪いの手紙は少なるわけじゃん。

C子:なるほどね。でもさー、いずれにしてもここらの学校通っとったら、いつ”ラブレター”回ってきよるかわからんけん。他人事じゃないって。ウチの学校も先々週、1年が数日挟んで二人死によったしね。




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