開けずの手紙2ーデジタルー
不安マックスの少女たち④


「…でもさあ、自殺じゃないにしても、こう短期間に立て続けて死なれちゃあ、なんか九州の連鎖自殺とダブるな。やっぱさ…」

姉のペットに別れを告げて腰を上げたミズホは、神妙な顔つきで独り言のようにそう呟いた。

”やっぱ、ミズホもそう感じてるわ。無理ないって。異常だし、今起こってる自殺の連鎖って…”

真由は今一度、心の中でひと際大きいため息をついた。

「私の中学…、どうやら二人目出よったみたいなんだ。先週と同じ、3年の男子らしいよ」

「そう…。ならそれ、”アレ”でしょ?」

もうこの姉妹間では、”それだけ”で話が通じ合っていた…。


***


「これ、カンペキだよ。お兄ちゃんが3年の友達が言うには、先週の第1号と今回の2号、仲悪かったらしいんよね。だから、3年の間じゃあ、ペーパーレスのご指名食って自殺だろうって…」

「じゃあ、3年はみんな慌ててるでしょ?」

「そうみたい。みんな、仲の悪かった子には愛想ふりまいたり、いじめたりして恨みを買ってる覚えのある友達に謝ったり…。みんなマジ、ヤバがってるって。まあ、私の学年でもそうなったら、私だってね…」

「お姉ちゃんの学校もおんなじだよ。今月初めの2号は何でも霊能者のお祓いを受けてたみたいなんだ。それなのに連鎖の輪からは逃れられんかったんで、親はもう寝込んじゃってるって」

「でもさあ、そんなんが広まれば、むしろ親の方は、”子供たちが信じちょる呪いなんてやっぱり嘘っぱちやった”ってことになるでしょ?学校もそれ見たことかって…」

「そうだよなあ…。もう私ら、学校や親をアテにできないんだよ。自分の身は自分で守んなきゃ…」

柳本姉妹は額から汗を流しながら、今日も”北九州発連鎖自殺の輪”で話題は独占されていた。






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