開けずの手紙2ーデジタルー
その3


≪了解しました。奈緒子さんのそのルートで得た情報も是非、共有させてもらいます。手嶋さんの件も承知しました。こちらは福岡入りしたら、予定通りその足で久留米の少女に会います。つい先ほど、彼女からは、深浦総合高校が述べ100人突破という直近の知らせが入りました。事態はひっ迫してます≫

奈緒子とのやり取りを終えたあと、即、鷹山にその旨をラインで伝えると、折り返しの返信メッセージでは、和田を驚愕させる事態が盛り込まれていた。

”何ということだ!鬼島の百夜殺しなら、このくらいの数字は十分可能だと想定はしていたが…。一高校で100人を超える生徒の自殺者をものの2か月って…!それにしても、ここまできて国が集団妄想などと捉えてるようでは、呪い云々を受け入れて対策を講じるはずなど望めんし、かえって事態を混乱させるかも…”

和田は、鬼島の用意した(?)ネクストステージの底知れなさを改めて思い知らされ、頭は混乱していた…。


***


翌朝、月曜日の午前9時…。
アライブ事務所では、鷹山と国上が九州行の打ち合わせを行っていた。

「では、T高校に植わっていたくびれ柳の負気はほぼ、消除ってことですね?」

「ええ。昨日現地で再確認しました。元々いわくを備えた大木だったし、負気ゼロまでは至っていないが、呪いの気と共振できる容量には程遠い。そういうことです、鷹山さん…」

「ふう…、これで今九州で勃発してる連鎖自殺の大量事案の進行形はすべて、くびれ以外の”仕業”ってことになるか…。九州の巷では”まだら膨れくぬぎ”という呼称が流通し始めてるんで、今回の現地入りでは、まずはコイツを標的ってことになりますな?」

「そうなりそうだ。そちらの諸データから推察すると、”ソイツ”は多分、三浦美咲さんの事案決着ちょっと前に”構築”された可能性が大きい」

「国上さん、その前提でなら、結果的にはくびれ柳をもう少し早く処置できていれば、鬼島の呪いにシステムが機能する土台を根絶できてた。そうは言えませんか…?」

「そこなんですがね、鷹山さん」

国上はやや表情はが険しかった。
そして、この後彼の口から飛び出る”見解”に、鷹山は椅子から転げ落ちるほどの衝撃を受ける…。





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