開けずの手紙2ーデジタルー
その5


「…さらに言わせてもらいます。鬼島はセカンド・キャッチポイントが浮上可能になれば、ファースト・ポイントたるくびれから負気エネルギーを移動させる回路を成していたはずだが、その配分は、原発ではないが、一基が終了と同時にもう一基を作動というんでは、事実上空白期間を生じるリスクが伴う。なので、2基が作動してる重複期間を設けます」

「…」

ここまでくると、鷹山は口をぽかんと開けたまま聞いていた…。

「…それと同じ理屈で、鬼島はくびれがお役御免になる少し前にはセカンドを起動させていたとなる。つまり、両者間のエナルギー移動速度は回路調節の範疇で微調整程度なら配分可能でセットさせたという見方ができる。そうなると…」

「そんな!それができたなら、鬼島は、我々の施術を跳ね避けようとすれば出来たが、その微調整はしなかった。すなわち、こっちに花を持たせたって解釈もできちゃいますよ!」

鷹山は勢いよく椅子に背中をもたれかけ、やや口調を荒げた。
だが、国上は至って平静で、依然険しい顔つきのまま返答した。


***


「私はそう解釈している。その上で、それを選択した鬼島の浮遊するストック・エネルギーという意思が、更なるステージに我々を引きずり上げたとね」

「ふう…、いい加減、こっちの頭がイカレそうだ。まあ、ヤツは所詮ゲームと捉えて仕掛けてるんだろうから、国上さんの仮説をここまで聞けば、さもあらんってなりますよ。でも、チクショーだ」

「この私とて、ふざけやがってこのヤロウですよ」

ここで二人は、声を出して何とも意味深な苦笑をぶつけ合た。
やや投げやり気味に…。

”鬼島のえへら笑いが闇の彼方から届いて、目に浮かぶようだ。ヤツへの突きどころは、何としても九州で探し当てないと…”

鷹山は面識などない故人へ闘志を滲ませるのだった…。






< 24 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop