開けずの手紙2ーデジタルー
セカンドゲームの始まり
その1
今年の秋は、キンモクセイの心地よい香りが久留田ナナミの鼻にも心にも届いていた。
”去年までは悪臭にしか感じなかったのに…。キンモクセイっていい匂いなのね…”
福岡市内某区にある私立修実学園の校庭で、クラスメート数人とともに、放課後のひと時を談笑中のナナミは笑顔いっぱいだった。
ナナミは11月初旬に、深浦総合高校からこの学校に転校してきた。
何しろ50人もの生徒がバタバタと自殺で死んでいって、彼女が転向したいと申し出ると、親は二つ返事で承諾し、まだ開校して数年の新設校に近い修実学園へ中途転入したのだ。
***
「ナナミ…、今度、うちにおいでよ。新しい転校生と仲良くなったって親に行ったらさ、ぜひ家に連れて来なさいって言われちゃってさ。今度の日曜日、どうかな?」
「ホントにいいの、アサコ?」
「ナナミさえよければ、昼過ぎにでも駅まで迎えに行くから」
「じゃあ、今度の日曜日に…」
”嬉しい!私が友達の家に誘われたなんて、高校に入ってはじめてだし…”
深浦総合に入学してからというもの、集団いじめのターゲットとなり、仲間外れにされ続けた。
友達と一緒に仲良くスマホいじりなど、ほぼ皆無であった。
しかしこの学校へ転向してからは、連鎖自殺の学校からということで、かえって皆からは気遣われ、すぐに何人も親しい友人ができたのだ。
まさに、ナナミにとっては奇跡が起きた…。
”あの事”以来…。
そういうことに行きついていた。
***
”多分、深浦総合じゃあ自殺した生徒数は100超えだろう。修実のみんなにも耳に入ってるはずだよ。でもアサコをはじめ、友達は私のことを慮ってくれて、みんな私の前では口にしない。それと、深浦総合の子だって…”
ナナミは、1週間前の帰宅途中、深浦総合高校でクラスが一緒だったE子とF子から声をかけられたことを思い返していた。
その1
今年の秋は、キンモクセイの心地よい香りが久留田ナナミの鼻にも心にも届いていた。
”去年までは悪臭にしか感じなかったのに…。キンモクセイっていい匂いなのね…”
福岡市内某区にある私立修実学園の校庭で、クラスメート数人とともに、放課後のひと時を談笑中のナナミは笑顔いっぱいだった。
ナナミは11月初旬に、深浦総合高校からこの学校に転校してきた。
何しろ50人もの生徒がバタバタと自殺で死んでいって、彼女が転向したいと申し出ると、親は二つ返事で承諾し、まだ開校して数年の新設校に近い修実学園へ中途転入したのだ。
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「ナナミ…、今度、うちにおいでよ。新しい転校生と仲良くなったって親に行ったらさ、ぜひ家に連れて来なさいって言われちゃってさ。今度の日曜日、どうかな?」
「ホントにいいの、アサコ?」
「ナナミさえよければ、昼過ぎにでも駅まで迎えに行くから」
「じゃあ、今度の日曜日に…」
”嬉しい!私が友達の家に誘われたなんて、高校に入ってはじめてだし…”
深浦総合に入学してからというもの、集団いじめのターゲットとなり、仲間外れにされ続けた。
友達と一緒に仲良くスマホいじりなど、ほぼ皆無であった。
しかしこの学校へ転向してからは、連鎖自殺の学校からということで、かえって皆からは気遣われ、すぐに何人も親しい友人ができたのだ。
まさに、ナナミにとっては奇跡が起きた…。
”あの事”以来…。
そういうことに行きついていた。
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”多分、深浦総合じゃあ自殺した生徒数は100超えだろう。修実のみんなにも耳に入ってるはずだよ。でもアサコをはじめ、友達は私のことを慮ってくれて、みんな私の前では口にしない。それと、深浦総合の子だって…”
ナナミは、1週間前の帰宅途中、深浦総合高校でクラスが一緒だったE子とF子から声をかけられたことを思い返していた。