【短編集】片想い、余命2日
花村に言われて、俺は自分が傷ついていることを知った。
ただ純粋に、由依といられない未来を想像しただけ。
その未来が、嫌だと思った。
これがなにを意味するのかわからないほど、俺はバカじゃない。
「ちょっと、人の話、聞いてる?」
「ごめん、花村。俺、由依と関わらないってのは、ムリだ」
はっきりと言うと、花村は俺の胸倉を掴んだ。
花村が素直に引き下がるとは思っていなかったが、ここまで過激な反応をされるとは予測していなかった。
幸い、教室にはもう誰もいなかったから、変な騒ぎにはならずに済みそうだ。
しかしながら、花村は俺を睨みつけるばかりで、なにも言ってこない。
いや、言えないのかもしれない。
俺の服を掴む拳は震え、言葉を噛み殺しているように見える。
「深優、なにしてるの……?」
その声は、ドア付近から聞こえた。
由依だ。
由依の姿を見て、花村の手から力が抜ける。
だが、優しく離す、なんてことはしてくれず、身体を押されるように離され、俺は背もたれで軽く背中を打つ。
花村は由依に背を向けて座り直す。
高い位置で結んでいる長い黒髪が横顔を隠すが、隙間から見える瞳から、後悔の色が伺える。
ただ純粋に、由依といられない未来を想像しただけ。
その未来が、嫌だと思った。
これがなにを意味するのかわからないほど、俺はバカじゃない。
「ちょっと、人の話、聞いてる?」
「ごめん、花村。俺、由依と関わらないってのは、ムリだ」
はっきりと言うと、花村は俺の胸倉を掴んだ。
花村が素直に引き下がるとは思っていなかったが、ここまで過激な反応をされるとは予測していなかった。
幸い、教室にはもう誰もいなかったから、変な騒ぎにはならずに済みそうだ。
しかしながら、花村は俺を睨みつけるばかりで、なにも言ってこない。
いや、言えないのかもしれない。
俺の服を掴む拳は震え、言葉を噛み殺しているように見える。
「深優、なにしてるの……?」
その声は、ドア付近から聞こえた。
由依だ。
由依の姿を見て、花村の手から力が抜ける。
だが、優しく離す、なんてことはしてくれず、身体を押されるように離され、俺は背もたれで軽く背中を打つ。
花村は由依に背を向けて座り直す。
高い位置で結んでいる長い黒髪が横顔を隠すが、隙間から見える瞳から、後悔の色が伺える。