【短編集】片想い、余命2日
3
「由依、ごめん」
昇降口を出ると、深優が謝ってきた。
靴に履き替えることもせず、俯いて立ち尽くしている。
私の返答を聞くまでは動かないという意志を感じる。
私は深優に近付き、少しだけ震えている深優の手に触れる。
深優と目が合ったけれど、今にも泣きそうな表情をしていて、そこまで自分を追い詰めていることに驚いた。
「どうして深優が謝るの?」
「だって、私、片倉に由依の気持ちを言ったようなものだから……」
唐突に、腑に落ちた。
どうして、あのとき深優が壱の胸倉を掴んでいたのか。
私に見つかって、気まずそうにしていたのか。
深優と壱が話していた内容は知らなかったけど、今の一言で、なんとなく察した。
本当、私はいい友達に恵まれた。
「気にしないで。いつまでも言わなかった私が悪いんだから」
それでも深優は笑ってくれなくて、私は無理やり、深優の口角を上げる。
深優は少し痛がって、やっと微笑んでくれた。
私は安心して、校舎を出る。
安心したからこそかもしれないけれど、ようやく、深優が申し訳なさそうにしていた理由を理解した。
壱は、私の気持ちを受け入れる気がないのかもしれない。
昇降口を出ると、深優が謝ってきた。
靴に履き替えることもせず、俯いて立ち尽くしている。
私の返答を聞くまでは動かないという意志を感じる。
私は深優に近付き、少しだけ震えている深優の手に触れる。
深優と目が合ったけれど、今にも泣きそうな表情をしていて、そこまで自分を追い詰めていることに驚いた。
「どうして深優が謝るの?」
「だって、私、片倉に由依の気持ちを言ったようなものだから……」
唐突に、腑に落ちた。
どうして、あのとき深優が壱の胸倉を掴んでいたのか。
私に見つかって、気まずそうにしていたのか。
深優と壱が話していた内容は知らなかったけど、今の一言で、なんとなく察した。
本当、私はいい友達に恵まれた。
「気にしないで。いつまでも言わなかった私が悪いんだから」
それでも深優は笑ってくれなくて、私は無理やり、深優の口角を上げる。
深優は少し痛がって、やっと微笑んでくれた。
私は安心して、校舎を出る。
安心したからこそかもしれないけれど、ようやく、深優が申し訳なさそうにしていた理由を理解した。
壱は、私の気持ちを受け入れる気がないのかもしれない。