【短編集】片想い、余命2日
◇◇◇


「正気?」


 放課後の帰り道、昼間のやり取りと私の答えを聞いた深優は、顔を顰めた。


 授業も聞かずに考えて導き出した、私の答え。

 もう、迷いはなかった。


「つい数日前に、好きでいるのはつらいって言わなかった? これから先、奴の無神経さに傷付くことがあるかもしれないのに」


 ここ数日の私を見ていたら、当然の心配だと思う。


 だけど、それでも、譲れない想いがあった。


「その辺は覚悟してるつもりだよ」


 その想いは深優ではなく本人に言うべきだから、深優には秘密だ。


 そうしたことで、深優は複雑そうな顔をする。


「……わかった。でも、嫌なことがあったら、すぐに言って。私がアイツをぶん殴るから」


 深優らしい言葉で、つい笑ってしまう。


「ありがとう、深優」


 私はその不器用な優しさに甘えるように、深優と腕を組む。


「大好きな由依のためだから」


 本当、惚れてしまいそうになるくらいかっこいい、私の大好きな親友。


 そんな親友がいることが誇らしくて、私の頬は緩みっぱなしだった。





 翌朝、目を覚ました瞬間から緊張していた。


 今日は、壱に答えを言う日。


 悪い未来にはならないはずなのに、緊張が収まらない。


 やっぱり、こういう想いを言葉にするのは緊張するらしい。

 勢いで伝えてしまった過去の私を尊敬する。
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