【短編集】片想い、余命2日



 放課後になると、身なりを整えた女子たちが窓際に群がった。


「よくあんな体力があるよね」


 綾芽は呆れた様子だ。


「綾芽ちゃんも、楽しみにしていませんでした?」


 亜子は帰る支度をしながら言う。


「なんていうか、私より騒いでる人を見たら冷めるっていうか……」


 その感覚が理解できない亜子は、適当な相槌を打つ。


「亜子、帰るの?」
「図書室に行って、新しいお菓子作りの本を探します。綾芽ちゃんも行きますか?」


 図書室には惹かれない綾芽は迷ったが、亜子が次に作るお菓子が気になり、ついて行くことにした。


「亜子って、本当にアイドルに興味ないんだね」
「私はお菓子を作るほうが楽しいのです」


 本当に幸せそうに語る亜子が可愛く思え、綾芽は亜子に抱きついた。

 そのまま歩くことは難しく、亜子の足が止まる。


「また亜子のお菓子、食べさせてね」
「もちろんです。綾芽ちゃんはどんなお菓子が」


 亜子がそこまで言ったとき、亜子のスマホが鳴った。


 学校にいる間にメッセージが届くことが珍しく、亜子は不思議に思って、スマホを取り出した。


『まだ学校にいるなら、体育館に集合』


 兄の壱からのメッセージだった。
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