【短編集】片想い、余命2日
「由依」


 深優の横顔に見惚れていたら、誰かが、私を呼んだ。

 誰なのかなんて、考えるまでもない。


 しかし、廊下ということもあり、周りの女子に睨まれる。


 こんな注目のされ方を喜ぶ人なんて、いないだろう。


 ちょっとした憎しみを込めて、壱を見る。


「なに?」
「この子、俺の新しい彼女」


 壱がいつも通りということは、私の憎しみは伝わらなかったらしい。

 まあ、そこまで深い憎しみを抱いたわけではないから、そんな気はしていた。


 そして、壱の隣には、美人さんが勝ち誇ったような表情をして立っている。


 どの世界でも、イケメンの幼なじみは嫌われやすい。

 歴代彼女たちも、こうして勝ち誇ったような、私を見下すような顔をしていた。


 この瞬間が、私を惨めにしていく。

 まるで、お前に興味はないよって言われているような気分になることも含めて。


 それにしても、私に恋人を紹介する習慣を、いい加減やめてほしい。


「……おめでとう」


 何度言ったかわからない、偽りの言葉。

 心はもう麻痺してしまって、前ほど痛まない。


「お前もそろそろ彼氏くらい作れよな」


 それを、貴方が言うの?
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