【短編集】片想い、余命2日
2
見慣れた教室の中に存在する、いくつかの非日常。
その光景を残すためのカメラと、制服を身に纏って席に着く洸。
亜子のクラスメイトたちは、女子を中心に、その非日常に落ち着かない。
しかし廊下側の前方に座る洸は、その騒がしさに慣れた様子で、撮影が開始されるのを待っている。
「改めて確認しますね。今回のテーマは、初恋。ピュアで幸せな恋愛です。今から撮っていくのは、クラスで気になる男子をつい見てしまうシーン。ふと洸に視線を移すような感じで、お願いします」
今回のミュージックビデオを撮影していく監督は、窓際の後ろに座る亜子に改めて説明する。
「……はい」
亜子は緊張した面持ちで言う。
亜子が頼んだため、綾芽は亜子の前に座っているが、どんな言葉をかけるのが正解なのか、わからなかった。
「亜子ちゃん、リラックス」
スタッフ陣に紛れていた颯斗の声かけは逆効果で、亜子はますます緊張していく。
しかし亜子の気持ちが整う時間など待っていられず、カメラが回る。
いつも授業を受けるように、黒板を見て、ノートに写して、もう一度黒板を見て。
その視界に入る、違和感。
亜子は少しだけ洸を見る。
洸が下を向いたことで、柔らかそうな黒髪が揺れる。
その光景を残すためのカメラと、制服を身に纏って席に着く洸。
亜子のクラスメイトたちは、女子を中心に、その非日常に落ち着かない。
しかし廊下側の前方に座る洸は、その騒がしさに慣れた様子で、撮影が開始されるのを待っている。
「改めて確認しますね。今回のテーマは、初恋。ピュアで幸せな恋愛です。今から撮っていくのは、クラスで気になる男子をつい見てしまうシーン。ふと洸に視線を移すような感じで、お願いします」
今回のミュージックビデオを撮影していく監督は、窓際の後ろに座る亜子に改めて説明する。
「……はい」
亜子は緊張した面持ちで言う。
亜子が頼んだため、綾芽は亜子の前に座っているが、どんな言葉をかけるのが正解なのか、わからなかった。
「亜子ちゃん、リラックス」
スタッフ陣に紛れていた颯斗の声かけは逆効果で、亜子はますます緊張していく。
しかし亜子の気持ちが整う時間など待っていられず、カメラが回る。
いつも授業を受けるように、黒板を見て、ノートに写して、もう一度黒板を見て。
その視界に入る、違和感。
亜子は少しだけ洸を見る。
洸が下を向いたことで、柔らかそうな黒髪が揺れる。