【短編集】片想い、余命2日
◇
「みーちゃった」
洸が控え室に戻っていると、颯斗の悪い声が洸を呼び止めた。
洸は面倒そうにため息をつき、歩き出す。
颯斗はニヤニヤしながら、洸の肩を組んだ。
洸はその距離感と歩きにくさから、顔をしかめる。
「洸が差し入れを受け取るとはね」
洸は基本、ファンからも共演者からも、手作り品は受け取らないようにしている。
それでも、亜子からクッキーを貰いたかったのは。
「……あの子は特別だから」
ますます颯斗にからかわれるとわかっていても、洸はそう言い切った。
颯斗は堂々と言われ、反応に戸惑う。
「まさか、疑似恋愛体験をして、好きになったとは言わないよな?」
どこから聞いていたのか、島崎が後ろから声をかけた。
「言わないよ」
安心してため息をつく。
「だって、僕があの子を特別だと思ったのは、半年くらい前からだから」
そしてすぐに、その安心をぶち壊した。
衝撃を受けたのは島崎だけでなく、颯斗もだった。
「恋とかわかんないって言ったのは嘘か」
「ウソじゃない。あの子のクッキーなら食べれるかもって思っただけ」
「てか、洸、亜子ちゃんと知り合いだったの?」
「顔はよく覚えてなかったからすぐにわからなかったけど、たぶん」
「みーちゃった」
洸が控え室に戻っていると、颯斗の悪い声が洸を呼び止めた。
洸は面倒そうにため息をつき、歩き出す。
颯斗はニヤニヤしながら、洸の肩を組んだ。
洸はその距離感と歩きにくさから、顔をしかめる。
「洸が差し入れを受け取るとはね」
洸は基本、ファンからも共演者からも、手作り品は受け取らないようにしている。
それでも、亜子からクッキーを貰いたかったのは。
「……あの子は特別だから」
ますます颯斗にからかわれるとわかっていても、洸はそう言い切った。
颯斗は堂々と言われ、反応に戸惑う。
「まさか、疑似恋愛体験をして、好きになったとは言わないよな?」
どこから聞いていたのか、島崎が後ろから声をかけた。
「言わないよ」
安心してため息をつく。
「だって、僕があの子を特別だと思ったのは、半年くらい前からだから」
そしてすぐに、その安心をぶち壊した。
衝撃を受けたのは島崎だけでなく、颯斗もだった。
「恋とかわかんないって言ったのは嘘か」
「ウソじゃない。あの子のクッキーなら食べれるかもって思っただけ」
「てか、洸、亜子ちゃんと知り合いだったの?」
「顔はよく覚えてなかったからすぐにわからなかったけど、たぶん」