【短編集】片想い、余命2日
そんな私の悩みを察してくれたかのように、深優は優しく頭を撫でてくれた。
その温かさに、思わず泣きそうになってしまった。
◆
化学の授業に集中できないまま、授業は終わってしまった。
あとで、深優に教えてもらおう。
そう思いながらノートを閉じると、周りが少しだけ騒がしくなる。
何事かと思って顔を上げると、壱が化学室の出入り口に立って、誰かを探している。
今、一番会いたくない人。
壱の視界から逃げることはできなさそうで、私はひとまず、壱に気付いていないふりをした。
「由依」
壱が探していたのは、私らしい。
「由依、話がある」
「わ、私はない」
どうしたって、不自然な態度だ。
でも、それでも、壱と話さなくていい道を作りたかった。
「由依がなくても、俺があるんだよ」
壱は強引に連れ出そうと、私の手首を掴んだ。
嫌だ。
行きたくない。
そう言いたいのに、逃がさないと言わんばかりの力に、言葉が出てこない。
「その手、離してくれる?」
どうやって逃げようか考えていたら、深優が壱の手首を掴んだ。
「花村……」
「由依が嫌がってる。わからないの?」
壱が私を見る。
その温かさに、思わず泣きそうになってしまった。
◆
化学の授業に集中できないまま、授業は終わってしまった。
あとで、深優に教えてもらおう。
そう思いながらノートを閉じると、周りが少しだけ騒がしくなる。
何事かと思って顔を上げると、壱が化学室の出入り口に立って、誰かを探している。
今、一番会いたくない人。
壱の視界から逃げることはできなさそうで、私はひとまず、壱に気付いていないふりをした。
「由依」
壱が探していたのは、私らしい。
「由依、話がある」
「わ、私はない」
どうしたって、不自然な態度だ。
でも、それでも、壱と話さなくていい道を作りたかった。
「由依がなくても、俺があるんだよ」
壱は強引に連れ出そうと、私の手首を掴んだ。
嫌だ。
行きたくない。
そう言いたいのに、逃がさないと言わんばかりの力に、言葉が出てこない。
「その手、離してくれる?」
どうやって逃げようか考えていたら、深優が壱の手首を掴んだ。
「花村……」
「由依が嫌がってる。わからないの?」
壱が私を見る。