桜の雨
始業式 出会い
春は出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。春のうららかな気温とは裏腹に、環境の変化が激しい春が私は苦手だ。
慌ただしい朝の教室。
今日は一年の中でも特別な日。
4月、最初の登校日だ。
クラス替え。
それは私が苦手な行事の1つだ。
学校に着き、恐る恐るクラス発表の掲示物をみる。
「あー!よかった!今年も芽玖と同じクラスだ!」
見終わらないうちに、桃の嬉しそうな声が聞こえてきた。
学校で一番仲の良い友達だ。
「よかった~よろしくね」
仲が良い子が同じクラスにいるだけで安心する。
今年も桃と一緒に授業が受けられるんだな、と嬉しい気持ちで席についたと同時に、教室のスピーカーからアナウンスが流れる。
『お知らせします~9時から式を始めます。みなさんホールへお集まりください~繰り返します~……』
今日は新学期1日目ということもあって、まずは新しく赴任した先生や転校生、それぞれのクラスの担任の先生を紹介する式がある。
クラス替えと同時に担任の先生が変わることが多い中、私の担任の先生は前と変わらないらしい。
情報収集に抜かりのない桃が教えてくれた。
自分のクラスの担任が分かっていることもあって、わくわく感のないまま、式が始まるホールへと向かう。