桜の雨
夏休みの間中、その日のことを思い出していた。
「わああ」と叫びたくなることもあって、実際に叫んだりもした。
どうしてこんなに嬉しかったのか、ドキドキしたのか分からなくて自分なりに色々考えたりもした。
どうして嬉しかったのか…
先生が私の言葉を信じてくれたから…?
どうしてドキドキしたのか…
頭ぽんぽんされたから…?
もともと先生のことが好きだったのが、今になって分かったから…?
でも、私の言葉を信じてくれたのが、春野先生じゃなかったら…頭ぽんぽんしてくれたのが春野先生じゃなかったら…どうなってたの…?
もしこの前の出来事が違う先生でも、好きになったとしたら、私は別に先生のことが好きなわけではないってこと…?
考えれば考えるほど訳が分からなくなる。
桃に話してすっきりしたい気持ちがあっても、恥ずかしい気持ちの方が勝ってしまう。
なんだか食欲もない。
悶々とした気持ちを抱えながら、夏休みの課題に追われる日々を送った。