桜の雨
私のスマホの電源が切れてなかったこと
先生が私の言葉を信じてスマホを没収しなかったこと
頭をぽんぽんされたこと
それらを一通り、一気に話した。
話している途中、桃は
「えええ!!」とか「きゃー!!」とか
色々な反応をしていた。
ひとしきり話し終えると、悶々としていた気持ちは、いくらか落ち着いていた。
心なしかお腹も空いてきた気がする。
カップに入っている紅茶を一気に飲んで一息ついていると桃が、
「で!!芽玖は春野先生のこと、どう思ってるの?」
と単刀直入に聞いてきた。
そういえば、あのときの状況を話すことにいっぱいいっぱいで、私の気持ちは話せていなかった。
勇気を振り絞り、自分の気持ちを桃に伝えてみる。
「あのね、私…春野先生のこと好きかもしれないの…でも考えれば考えるほど好きなのか、そうじゃないのか分からなくなっちゃって…」
『先生のことが好きかもしれない』と、言葉に出した途端、『好き』という気持ちが現実味を帯びる。
「そうだよね、芽玖は先生のこと好きだよね。見てれば分かるよ〜」
桃は、得意げな顔をしている。
「でも、こいうことがあったのが春野先生じゃなかったら好きになってなかったんじゃなかったのかな、とか色々考えちゃって…」
素直な気持ちを言葉に出してみる。
「ん〜まぁそれはどうか分かんないけどさ。芽玖は先生のことが好きだと思うよ。だって勉強教えてもらってるときの芽玖、恋する乙女の顔してるもん」
桃が珍しく真面目なトーンで話している。
「とにかく!好きなら好きでいいのっ!」
いつもの桃に戻った。