桜の雨

到着したホールには、既にたくさんの生徒が集まっていた。
広いホールに備え付けられている座り心地のいい椅子は、生徒でほぼ埋め尽くされている。

「あたし、この椅子好きなんだよね~。ここで寝ちゃいたいくらい!」
と隣に座っている桃が笑いながら言う。

私もこの椅子好きなんだ、などと雑談をしていると、いつの間にか9時になっていたようで、式を始めるアナウンスが流れる。
式が始まると、改めて新学期が始まることに気づかされる。
今日から高校2年生。
なんの実感もない。



早く終わらないかな、などと上の空だったが、気づくと、檀上に何人がか立っている。
いつの間にか新しく赴任した先生や転校生の紹介が始まっていた。

新しい先生が2人で……転校生が3人?
うーん、でも転校生っぽい人の一人、制服が違う……

「ね、ね、芽玖!あの人かっこよくない?先生かな?」
桃が指していた人は、制服が違う転校生っぽい人のことだった。
顔が幼いので、てっきり生徒かと思ってしまった。



檀上の5人はそれぞれ紹介された後に、挨拶をする。
紹介の内容からして、やはり桃のいう通り先生らしい。
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