桜の雨
修学旅行

だんだんと肌寒い日が増えている。
先生に初めて勉強を教えてもらった日は、6月の雨が降ってた日だったっけ…
思い返すとこの約半年は、ドキドキしたりうじうじしたり…これまで味わったことのない気持ちを感じて過ごしていた。

先生との個別学習は、先月の一件以来、再開している。






修学旅行の日が近くなり、学年全体がそわそわした雰囲気に包まれていた。
桃からは、「先生と仲良くなるチャンスだよ」なんて言われてるけど、どうしたら仲を縮められるんだろう…
楽しみなような、不安なような…




そんなことを考えていると、あっという間に修学旅行の日になった。






修学旅行の初日は、クラス全体の移動で、歴史的な建造物を見て周る。
春野先生は、一応私たちのクラスの担任ということで、一緒に回ることになっていた。

やっぱり、そこでも春野先生は人気者で、男女問わず生徒に囲まれている。
私には入る隙間がなくて、遠巻きに眺めていた。
そんな私を桃は引っ張って連れて行こうとしてくれたけど、私は断ってしまった。

みんながいる前で先生と何話したらいいか分からない…
二人でいるときの先生と、生徒に囲まれている先生は違う先生のような気がしてしまい、何となく近寄りがたく感じた。
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