桜の雨

先生が私の後ろに並ぶと、ちょうど私たちの順番になった。



「やっぱ私やめます!」
桃は突然そう言って、急に席を立ってしまった。
桃が、私を見てにんまりしている。

桃がジェットコースターに乗るのをやめてしまったのを見て、呆気にとられている先生。

桃が座っていた椅子が空いたけど、私が席を詰めないと隣に人が座れない。
私は桃が去った椅子に座り直し、勇気を出して先生に声をかける。
「よかったら隣に乗りませんか?」



呆気にとられていた先生は、私の声を聞き我に返った様子。
「じゃあ隣に失礼するよ」



先生が私の隣に座ってくれた。
思ったよりも距離が近い。
やばい、ドキドキする。



でも、私はジェットコースターがそんなに得意ではないことを今更思い出す。
桃と楽しく遊園地を回っていたせいで忘れていた。
緊張とドキドキと不安が混じり合って、体が少し震えているような気がする。


「えっ!なんか震えてるけど大丈夫?」

私を見つめる瞳が近い。
余計にドキドキしてしまい何を言おうか迷っていると発車音が聞こえ始めた。
えっ、待って。心の準備ができてない!!!
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