桜の雨

「先生のせいじゃないです!具合悪くなりたいって思ってたのは私の方だし…」

「え?どういうこと?」
先生は不思議な顔をしている。

「あっ、私マラソン嫌いなんで、マラソン大会欠席したくて具合悪くなればいいのになーって思ってたんです。でもマラソン前には具合悪くならなくて、走り始めてから具合悪くなっちゃいました」

先生がクスッと笑っている。
「何かそういうの懐かしいな。俺も学生の頃、そういうこと考えてた」

「えっ、先生もそういうこと考えてたんですか?」
少し意外だ。

「考えてたよ。テスト前に勉強してないから、再テスト受けたいから熱でも出ないかな、とか」


また新たな先生の一面を知った。
先生の新たな顔を見るたびに、もっと仲良くなって色々な先生を知りたいと思ってしまう。
どんどん欲張りになってしまう。






来月はバレンタイン。
この機会にバレンタインにチョコを渡したい。

でも、こんな私が先生にチョコなんて渡したら、先生を困らせてしまうんじゃないか。
卑屈過ぎる考えかもしれないけど、こんな私が先生にチョコを渡してもいいのだろうか、とも思ってしまう。

でも先生に、ほんの少しでも私の気持ちを分かってもらいたい。
どうしたらいいのか迷っていた。
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