桜の雨
先生から貰った紙袋を見ると、かわいいウサギのイラストが描かれていた。
中を見ると、紙袋に描かれているウサギと同じキャラクターのイラストの缶が入っている。
中を開けるとクッキーだった。
それも、ただのクッキーではなく、ウサギの顔の形になっていて、1つ1つ表情が違う。
かわいい。
ただでさえ、可愛すぎて食べにくいのに、先生から貰ったクッキーということも相まって、食べるのがもったいない。
1つ1つ表情の違うクッキーを眺めていると、いつの間にか、先生のいる教室に向かう時間になっていた。
教室に入ると、先生が待っている。
「先生からのお返し、すごく可愛くて食べるのがもったいないです」
「腐っちゃうから食べてよー」
クスッと笑う先生の顔が眩しくてドキドキする。
ドキドキしながら、本当は自分で解ける課題を教えてもらう。
先生の教え方は丁寧で分かりやすい。
この時間もあと少し…
「先生、4月から中等部に行っちゃうって本当ですか?」
私が今、一番心の奥につっかえていること。
私の言葉を聞くと先生は目を見開いて、びっくりしている。
「さすが学校の中は情報早いなぁ…俺まだ生徒の誰にも言ってないよ?」
先生は少し寂しそうなため息をつく。