トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー

王位継承者とは

カーーン カーーン

翌日の朝9時に、王宮付属教会の鐘が鳴った。

チェイサーは、犬のダリルを連れて、門の鉄柵のそばに座っていた。
王宮の正門が開いたので、
立ち上がり、門番に声をかけた。

「騎士団のブラントンと約束をしている。
チェイサーだ。取り次いで欲しい」

「連絡をもらっています。
どうぞ、こちらへ」

門番の兵士はキビキビと対応し、
ブラントンの執務室に案内した。

大きな執務デスク、
その後ろには天井までの書棚、
部屋の角には大きな国旗が立てられている。

横の飾り棚には所狭しと並んでいる、トロフィーや各種のメダル。
ここの主(あるじ)が、格闘技や剣、馬上試合など
卓越した技術を持っていることを示していた。

「随分と立派な部屋だな」

ブラントンは、笑顔でチェイサーを迎えたが、
その皮肉な発言に、不敵な笑いを浮かべた。

「一応騎士団長だからな。
実績も必要だし、俺も偉くなったのさ。
まぁ、嫁さんのオヤジの口利きもあるが」

ブラントンは管理職らしく、あごを指でなでて、
チェイサーに座るよう促した。

「時間があまりない、仕事の話をしよう。
今回は王族の警護だが・・」

チェイサーは座り、
側にぴったり控えている犬のダリルの頭をなでた。

「それでは、警護対象を、
先に見てもらったほうがいいかな。
王宮の大広間で、剣舞の練習をしているはずだが」

そう言って、ブラントンはすぐに立ち上がった。
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