トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
ブラントンは説明を続けた。

「話によると、
リアラン様の母君は、現王の妃候補ではなかった。
王族につらなる貴族の出自のお方だったが、とても体の弱い方で、
女子修道院で、ずっと療養生活をしていたらしい。

姉のほうが妃候補で、王との見合いの席についた。
が、そこに偶然、妹も来ていて同席したら、
王様が一目ぼれをしてしまったという、よくあるオチだ」

ブラントンは、フフフと薄笑いを浮かべた。

「姉より、妹のほうが美人だったのか?」
チェイサーも苦笑した。

「まぁな。とにかく王が猛アタックを妹にかけて、
周囲を説得しまくって、強引に結婚までこぎつけたが、
体も弱く、妃としての気苦労も大きかったのだろう。

リアラン様の生まれた後、
産後の肥立ちが悪くて、
あっという間に、お亡くなりになってしまったと聞いている」

チェイサーは舞台の上で、
剣を持ち、舞うリアランを見ていた。

「王は、王妃そっくりのリアラン様を溺愛している。
でも、王位継承が一人というわけにはいかないので、
周囲の強い薦めもあって、現王妃をめとった。」

チェイサーは、付き従っている、背の高い王位第2継承に視線をやった。
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