トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
舞台では、リアランが華麗な剣舞を見せている。
が、突然、膝が崩れた。

チェイサーが、あっと小さな声をあげた。
ブラントンは、その様子に眉間にしわをよせて

「まったく、リアラン様は体力がない。
そこも母親に似たのだろうが、
欠点だな。
能力も才能も、他の継承者よりも頭一つ抜けて、優秀なのだがね。
おまけに美しいし」

「今の王妃とリアラン様との関係は?良好なのか?」

チェイサーは、床に座り込んで肩を波打たせ、息を整えているリアランを見ながら言った。

「鋭い質問だな。
王妃殿は、表面上は何食わぬ顔をしているが、
内心はおもしろくないだろう。
なにしろ、リアラン様は母親とそっくりだからな。
それに・・」

ブラントンは腕組みをした。

「リアラン様は、政治的に強い有力者の後ろ盾がない。
今の王妃の人脈は、バリバリだが。
現王が、リアラン様の後ろ盾になっているうちはいいが、
王に何かあれば、わからんな」

「味方は王だけというわけか。
でも第一継承者だからな」

ブラントンはチェイサーの指摘に、ふむとため息をついた。
舞台がざわざわしている。

「今日はこれで終了です」

舞台袖で、指導者の声が響き、
付き添いの召使たちが、あわただしく動いている。

「それでは、俺たちもリアラン様に、お目通りするか?」

ブラントンは口角をあげて、
親指を、舞台の方にむけた。
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