トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
頬にかかる髪は、同じ深紅であり、その髪色は、肌の白さをより際ださせている。

オンナなら、極上の美姫だろう。

やや、うつむいて親指をかんで、
そっぽをむいている。
不機嫌さを、満開で表現していた。

「リアラン様、新しい護衛のチェイサーです」

騎士団の制服をまとっているブラントンは、チェイサーに、前に出るよう手招きした。

チェイサーは、そのXの前に片膝をつくと、頭を垂れた。
ダリルも、隣でお座りの姿勢を崩さない。

「犬も一緒なのか?」

リアランは犬の存在が意外だったのか、不思議そうに聞いた。

「はい、鳥も扱います」
チェイサーは頭を下げたまま、答えた。

「鳥?」

リアランは、もっと怪訝(けげん)そうに聞き返した。

「御前に呼んでもよろしいでしょうか?」
チェイサーは、自分の護衛対象を前にして、確認した

「ああ、見ておきたい」
リアランは、簡潔に答えた。

チェイサーは指を口に添わせると、指笛を鳴らした

ピィーーーー

バサバサと風切り音を立てて、
一羽の鷹が一直線に、滑空して飛び込んで来た。
鷹はチェイサーの腕に、爪を立てて止まった。

「ホークアイと言います」
< 19 / 73 >

この作品をシェア

pagetop