トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「バランドール・・北の国か。
数十年前に戦争があって、・・
内戦が続いて、国は滅びた。
確か王族は・・」

リアランは、言いよどんだ。

「暗殺されましたが、
私はこの異能のおかげで、
生き延びることができました」

チェイサーは、静かな視線でリアランを見た。

「あなたは王族の末裔なのか・・」

「今は関係ありません。
どうか、チェイサーとお呼びください」

「わかった」
リアランは、チェイサーの隣に控えている犬に視線をやった。

「その犬は、何と言う?」
「ダリルです」

「そうか・・・・」
リアランは、何か考え込むように
チェイサー一行を見ていたが、
気持ちを切り替えるように立ち上がった。

「これから、別の執務をしなくてはならない。その後も講義が続く。
夜に離宮に戻る」

「わかりました」

ブラントンは頭を下げたが、
言い忘れたように

「チェイサーが護衛任務につくのは、3か月だけです。」

「そうか、わかった」
リアランはうなずくと、
深紅の髪を揺らして、足早に出て行った。

バタン
ドアが閉まった。

ほうっ・・・・
ブラントンとチェイサーは同時にため息をついた。

「ひとまず、合格だな」
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