トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
ブラントンの「数時間から1日ほど所在不明になる」
あの言葉が気になる。

失踪とまではいかないが・・
警護をまいて、いなくなる。

それは、リアラン様の意志なのか?
協力者がいるのか?
その意図は?目的は?
謎が多い。

クラヴィーアの音が止んで、
テラスのカーテンがわずかに開いた。

ウワォン
ダリルが吠えると、テラスに向かって全力疾走した。

「ダリル!!戻れ」

リアランが、テラスの折り戸の隙間から、そっと顔を出して覗いている。
庭先の小さなたき火が、気になったようだ。

「チェイサー、なんで庭にいるのです?」

リアランが、眉をひそめて声をかけた。

「警備です。
夜間は庭にダリルを放しますので」

カンテラを掲げて、
チェイサーはテラスまで歩いて行った。

テラスの折り戸を開けたリアランは、深紅の髪を肩に広げて、
ゆったりとした薄紫のローブをまとっていた。

しなやかで、優雅な手つき、
リアランは手招きをした。

「夕食はまだだろう。
誰か、何か持ってくるように言おう」

「いえ、お心遣いありがとうございます。パンがあるので、大丈夫です」

チェイサーはそう答えて、
設営したテントを振り返って見た。
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