トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
チェイサーは、ベッドに腰をかけて、サイドテーブルに鍵束を置いた。

窓のカーテンを少し開けると、
庭をダリルが、走り回っているのが見える。

あれなら、外は問題ない。

ブーツを脱いで、ベッドに横たわると、
ふと、リアランの童女のような笑顔が浮かんだ。

可愛らしいお方なのに・・
オトコになるのか・・そう思いながら目を閉じた。

チェイサーが、目を開けたのは
午前3時すぎだった。
取りあえず、館を見回らなければならないな。

チェイサーはベッドから起き上がり、水を飲み干してから、
ランタンを手に取った。

コツ コツ コツ

廊下に足音が響く。
それは、闇に包まれている静寂の証(あかし)だ。

廊下の連なる窓から、三日月がおぼろに見える。

廊下の先の部屋、そのドアの隙間から、わずかに明かりが、
もれているのに気が付いた。

ここの使用人、もしくは・・・・

チェイサーは念のため、
腰からナイフを取り、足音を立てないよう、ゆっくり壁沿いに進んだ。

明かりがもれている部屋は、
館の厨房。

「誰かいるのか!!」

チェイサーは、大声で叫ぶと同時に、ドアを勢いよく開けた。
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