トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
その瞬間、
視界の隅に消え去った人影、
そいつは食品庫に隠れている。

中央の配膳台には、
チョコレートが残骸のように散らばっている。

飲みかけのグラスが一つ置いてあり、その匂いでブランデーとわかった。

使用人が、盗み食いをしているのだろうか。

しかし、万が一という事もある。
チェイサーはナイフを構えながらも、食品庫の扉の前に立った。

「出て来い!逃げ道は無いぞ」

カチャリ

食品庫のドアノブが動いた。
いきなり突き出た白い腕、
その手にはブランデーの瓶が握られている。
次に、ゆらりと深紅の頭がのぞいた。

「ここは私の家だぞ、何をしようが勝手だ・・」

リアランが、言い訳っぽく上目遣いにチェイサーを見上げた。

「リアラン様・・」

チェイサーは、急いでナイフを下ろして、腰にしまった。

「こんな夜中に・・何を・・」

うらめしげなリアランの眼差しと、頬が朱に染まっているのを見て、
「未成年者が、酒を飲んではいけないでしょうに!!」

チェイサーは問い詰めるように、低い声で言った。
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