トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
リアランは、はぁと息を吐いてから、その声を無視して

「んーーと、なんで今日は、
ブラントンではないのだ?」

そう言い、酒瓶をトンと机の上に置くと、
チョコレートが散らばっている、配膳台の前に座った。

「ブラントンは緊急な用事があって、急遽、俺が変わりました」

リアランの目のふちが赤い。
そこそこ飲んでいたのだろう。

「ああ、嫁さんの用事なのだな。
ブラントンは、嫁さんを
最優先事項にしているからな」

リアランが、ブランデーをグラスについで飲もうとした時、
素早くチェイサーが、その手首をつかんだ。

「未成年者の飲酒は、違法行為です。」

チェイサーはそのまま、グラスを奪い取って一気飲みした。
それを見て、
リアランは目を丸くして

「あなたは職務に忠実と思いきや、人の酒を飲むとは・・・・
とんでもない奴だな」

「あなたに、酒を飲ませないためには、手段を選べないですから」

「そのブランデーは、隠しておいたものなのにぃ!」

リアランが頬っぺたをリスのように膨らませて、
配膳台をバンバン叩いて、怒っているのが可愛らしい。

空になったグラスを置くと、
チェイサーはチョコレートの銀紙が、小山のように積み上げている机を見て、ため息をついた。
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