トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
そしてフォークとナイフでパンケーキを切り、一口パクリと口に入れた。

飲み込むと、フォークを机の上に置いて、
正面に座ったチェイサーを、にらみつけた。
が、目がトロンとしているので、どうにもしまりがない。

「ブラントンに言いつけても無駄だぞ。
あいつは私に、借りがあるからな」

「借りとは?」
チェイサーは、自分の前のパンケーキにバターを塗って、口にいれた。
多少の酒が入っているからだろう、今のリアランは口が軽そうだ。

「ブラントンの嫁さんは、
私のクラビィーアの先生だったのだ。
私の護衛の時に、あいつはずっと壁に張り付いて、
マリーアンばっかり見ていた」

リアランは、何か思い出したのか、ナイフを振り上げた。

「それを見て、私はピンときたのだ。
だから、クラビィーアの練習の時、二人きりになれるように、私は隠れた。
ブラントンとマリーアンが、一緒に私を探すという、口実を作るためにね」

「あなたが、恋のキューピッドだったのですね」

チェイサーは、酒で口の緩んだリアランを見て、微笑んだ。

「ふふふ、だから、ブラントンは、私に頭が上がらないってわけ。
おまけに、練習もさぼれたし」
< 35 / 73 >

この作品をシェア

pagetop