トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
葉巻を吸い終わると、
チェイサーは礼服に着替え、
離宮の正面玄関に、馬車をまわすよう連絡をした。

披露宴の会場は郊外にある、
王宮につぐ豪華な邸宅だ。

30分ほどかかるだろう。
チェイサーは着慣れない礼服に、
窮屈さを感じながらも時計を見た。

離宮につくと、すぐに老執事が玄関扉を開けた。

「おや、ブラントン殿ではないのですか?」

「ええ、緊急の案件が発生して、
私が騎士団長代理で、付き添いをいたします」

階段上から声が聞こえた。

「3番目が生まれそうなんだな。
この間から、やきもきしていたからな」

チェイサーは、姿を現したリアランを見た。

いつもの紺のスーツではなく、
淡いラベンダーのスーツ、
胸元は華やかなフリルとリボン、
襟もとには、小さな白い薔薇の花がさされていた。

新緑の中のすずらんの花のように、どう見ても可憐な美少女なのだが・・

チェイサーはそんな思いを、
全く出さず事務的に

「出発してもよろしいですか?」

「ああ、でも、スピーチ原稿が
まだ覚えきれていないのだ」

リアランは、数枚の紙片を丸めて、ポンポンと手の平を叩いた。
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