トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
馬車に乗り込むと、リアランは
チェイサーをしげしげと見て
「いつもと感じが違うな」

「一応、騎士団長代理を、拝命しましたので」

チェイサーは白の手袋、黒に近いグレーのスーツ、
ネクタイは、騎士団のドラゴン紋章が織り込まれている。

リアランは、少し意地悪そうに
「ブラントンが、前に言っていたな。
あなたは、たくさんのオンナを泣かしてきたと」

いきなりの爆弾発言に、
チェイサーは思わず額にしわをよせた。

ブラントンは、話を盛り上げるために、あること、ないこと言いふらすのだ。

「いいえ、そんな事はありません。
私のような仕事は、流れ歩くことが多いので、むしろご縁がない、
といったほうが正しいです」

チェイサーは、御者に指示をするふりをして、まっすぐ前を向いて答えた。

確かに、多くの女たちと関係は持ったが、長続きはしなかった。
いや、しないようにしむけたのは、自分の方かもしれないが。

リアランはスピーチ原稿に目を
通して、時折、目を宙に浮かせ、
ブツブツ暗唱している。

国王代理と騎士団長代理か・・・・
代理同士の珍しい組み合わせだな。
チェイサーは、馬車に揺られて考えていた。
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