トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「飲み物と、何か食べる物を取ってきます」

チェイサーは小走りで、会場に戻った。

オレンジジュースとリキュールボンボンをひとつかみ、
素早く皿に乗せて戻った時も
リアランは同じ姿勢でいた。

「リアラン様、甘い物を少し召し上がると気分が良くなりますよ」

チェイサーはリアランの隣に座り、声をかけた。

「ああ、ありがとう」

リアランの指がすぐに、リキュールボンボンをつまんだ。

「甘ーーーい、おいしーーい」

リアランはボリボリ音を立てて、夢中で口に放り込んでいる。
その様子はリスのようだ。

珍獣を見るようなチェイサーの視線に、リアランは気まずくなったようで、皿を差し出した。

「チェイサー、あなたもどうぞ」

「ありがとうございます、でも勤務中なので」

「なんか、まじめなのだな。
あなたは。
ブラントンは、バカバカ食べていたけど」

リアランは、行儀の悪さをごまかすように、肩をすくめた。

楽団が奏でる音楽が、風に乗って聞こえる。

「ブラントンはメリーアンと結婚して、幸せだろうな」

リアランは、最後のリキュールボンボンを名残惜しそうに、手の平に転がして言った。

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