トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
チェイサーが、リアランの耳元でささやく。
その声は低く、まるで催眠術のように、リアランの頭に響いていく。

なぜか、従ってしまう。
これもチェイサーの異能なのか。

リアランは、心の奥に封印していた感情が、引きずり出されるような気分だった。

「愛しています・・そう言ってください」

チェイサーは耳元に軽く唇をつけ、息を吸い込んだ。

「ふっ・・」

リアランの肩に、力が入った。
愛しています・・って、
その言葉は甘く、切ない気分にさせる。

「目を開けてはダメです。
あなたは、私を受け入れてくれますか?」

そう言って、
リアランの耳たぶを、軽く甘噛みをした。

ああ、すずらんの花の香り。
新緑の森の中。
柔らかな下草、春の息吹を感じる。

「緊張しないで、そう、少し口を開けて」

するりとチェイサーの唇が、
リアランの唇に触れた。

芽吹いたばかりの新芽を、
口にくわえたような感触だった。

そのまま、舌を絡めていくと、
溶けてしまいそうに柔らかくて
甘い、リキュールボンボンの味がする。

すっと、チェイサーの片手が手首を離れて、
リアランの上着の中にすべりこんだ。

手の平にすっぽりと収まる、
柔らかいが弾力のある膨らみ・・

膨らみ?

え・・・・?

リアランの反応が早かった。
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