トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「俺もそうさ。よくわかる。
子どもも二人いるし」

「子どもってかーーーー?」

チェイサーは驚きのあまり、
椅子からすべり落ちそうになっていた。

「まぁ、なり行きで、この国に落ち着いたってわけだが、
今回のこの仕事は、
俺の嫁さんのオヤジ案件なのだ」

チェイサーは、何とか体勢を立て直して、座りなおすと
「ふん、身内ならば、断れないってわけか」

「ああ、俺はもう、その方の護衛責任者だからな」
ブラントンはうなずいて、
高級銘柄のたばこの箱を、チェイサーの前に押し出した。

チェイサーは、煙草の箱をつかんで、質問した。

「ブラントン、俺から見てもお前さんは腕が立つけどな。
で、なんで、俺を指名した?」

ブラントンが前かがみになって、
手を口に当て、小声で

「実は護衛対象が、突然消えるのだ」
チェイサーは、また椅子からずり落ちそうになった。

「はぁ?消えるって」

「ああ、だが、しばらくすると、戻っている」

ブラントンは肩をすくめて、
「俺が護衛の責任者の立場として、突然行方不明になられると困る。
何かあれば、俺の責任問題になるからな」

「パパが困るわけか?」
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