トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「あなたの言う、その人は・・
きっとオトコとして、生きるために、いろいろなものを、
犠牲にしなくてはならないと思うわ。

確かに、見た目はオトコにはなるけど、オトコとしては不能、
オンナを抱く体にはならない」

チェイサーは、うつむいて
膝の上で、組んだ指を見つめた。

「心とカラダは違うって言うけど、カラダは理屈ではなく、
自然の摂理だから、
それを押さえこむのは大変だと思うわ。

薬の量が多くなれば、副作用が重くなる。
命に関わる場合もあるし」

マダム・ルルは、少しいらだちを見せた。

「生まれた時から、性別が決定している人には、わからないかもしれないけど」

チェイサーは、思い出していた。

王は側室を何人か持つと、ブラントンは言った。

王位継承者のスペアカードを、何枚も持つために。
生まれた子供たちを競わせ、優秀な人材を選抜するために。

あの時、リアランは
<自分は外国の姫と、結婚するだろう>と言った。

もし、その姫、側室に、子どもが生まれなかったら。
王族の血統をつなげない者は、
どうなるのだろうか。

次のスぺアが、即位するはずだ。
その時、リアランはどうなる?
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