トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「誰か、気になる人がいるのね?」

「いや、仮定の話だから」

チェイサーはごまかしたが、
マダム・ルルは鋭かった。

「あなたが護衛している、リアラン様って、オンナでもあそこまでの美系は、なかなかいないわ」

そう言って、
マダム・ルルは笑ったが、皮肉にも聞こえる。

「もちろん、ブラントン様の奥様も、美人だけどね」

チェイサーは、自分の手の平を見つめた。

あの柔らかな感触・・
緑の新芽のように、小さな唇
すずらんの花の香り

「ねぇ、ブラントン様の奥様って、継承権第2位の親族なのよ?
知っている?」

チェイサーは驚いて、マダム・ルルを見た。

「正確に言うと、奥様のいとこにあたるのね。
ブラントン様が、なぜ、王位継承権1位のリアラン様の護衛責任者になっていると思う?」

「それは・・いろいろな思惑が、あるのだろう」

チェイサーは、それしか言わなかった。
護衛は、リアランに一番近い場所を、いつも取ることができる。

守るだけではなくも、攻撃、
いや暗殺するにも、最も有利な位置だろう。

ブラントンは、汚れ仕事も必要なら、
ためらうことなく実行する。
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