トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
が、この離宮から出れば、
すぐにダリルが反応するはずだが。

「ダリル、探索!」

その命令に、ダリルはベッドの匂いをかいで、次に絨毯に鼻をつけた。
廊下に出ると、ダリルは階段を降りて、1階の奥、
北向きの図書室の扉の前でお座りをして、チェイサーの顔を見上げた。

「ここに入ってもいいですか?」

チェイサーの問いに、老執事は
うなずいた。

図書室の中は、厚手のカーテンが閉まり、薄暗い。

老執事は、すぐにカーテンを全開にして、陽の光を入れた。
しばらくダリルの探索が続き、
大きな書棚の前でまたお座りをした。

「ここで、臭いが消えているのか」

チェイサーは、賞金稼ぎ時代の
経験から、当たりをつけていた。

「ここに・・緊急避難用の通路があるのではないですか?」

老執事に聞いたが、彼は首をかしげるばかりだった。

「調べていいですか?」

そう言うと、
すぐに本棚の本を数冊取り出し、その壁面をこぶしで叩いてみる。

「この後ろは壁ではないですね。
この本棚になんらかの細工が、
されているはずです。」

リアランは、小柄だ。

高い所の仕掛けではなく、もっと低い所に何かがあるはず。
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