トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
チェイサーはひざをついて、
書棚の一番下の本を、取り出しはじめた。

一番端に<王国の起源と歴史>と、タイトルのある大型本がある。
それを抜き出すと、カバーの中には、小さなリキュールの瓶が2本入っていた。

「なるほどね・・」

リアランは、いろいろな場所に、酒を隠していると言った。

そして、本棚の壁面に、小さな金属のハンドルがついていた。

「これですね。まわしてみましょう」

グルグル、ハンドルを回すと、
書棚が、スライドして引き戸のように開き始めた。

人がようやく通れるほどの隙間が、空いた。
ダリルがすぐにその先を、
鼻でさぐりながら進んで行く。

通路は手すりがついていて、
暗闇でも迷わず歩けるように
配慮がなされていた。

病弱だったリアランの母君のために、つくられたのだろう。

通路の先に、明かりがチラチラ漏れている。

大人が屈まないと通れないほどの、小さな木の扉が、少し開いていた。

通路は離宮の裏門のそばにある、
今は使用されていない、
門番小屋につながっていた。

門番小屋の椅子には、
リアランが、脱ぎ捨てたのであろう寝間着やガウンが、無造作に置かれている。

ここで着替えて、裏の通りに出たのか。
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