トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「お迎えにあがりました。
体調が悪いと聞いたので、心配しておりました」

チェイサーは片膝をついて、
散らばった薬の袋を拾い集めた。

その薬に見覚えがあった。
若い兵士が、筋肉をつけるために飲んでいた薬、
そして、オトコ化を促進する補助薬としても使われる。

「何が目的だ・・何が欲しい?・・金か?」

リアランは、チェイサーが集めた薬の袋をひったくった。

チェイサーは冷静に言った。

「とても、無理をされているのかと。心配です」

マダム・ルルの言葉を、思い出していた。
薬の量が多くなれば、副作用も重くなる。

リアランの頬が赤くなった。

「無理?そうだ!
私は、いつも無理をしている!!」

言いつのるリアランの肩を、
抑え込むようにチェイサーはつかんだ。

「あなたが王位について、リアラン様、幸せなのですか?
あなたの代わり、
スペアは常に、準備されているのですよ」

リアランは、チェイサーと視線を合わせないように、横を向いた。

「私は幼い頃から、第一継承者として帝王学を受け、
そして、周囲の期待に応えるべく、努力をかかさなかった」

チェイサーのつかんだ指に、力が入った。

「それが、あなたの幸せですか?」
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