トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
その問いに、
リアランは首を振り、こぶしを握り締めて叫んだ。

「幸せとか、そのような問題ではない!!
私は王になるべく、生まれてきたのだ!!」

「自分の体に無理を強いてまで、
やる価値があるとお考えなのですか?」

パシッ

リアランの片手が、チェイサーの頬を打った。
薬が足元に、散らばった。

チェイサーは、リアランの肩をつかんで揺さぶった。

「よく聞け!私も王家の末裔だ。
しかし、権力なぞ、簡単にひっくり返る。
私は、身を持って知っている!
なぜ、スペアが常に準備されているのか、よく考えろ!

なによりも、不幸な王に統治される民衆は、たまったもんじゃないぞ」

リアランのサファイアの瞳が、
涙でうるんでいる。

「私は・・父、国王陛下の喜ぶ顔がみたい。
そのお役に立ちたい・・」

チェイサーは、怒鳴りつけた。

「無理して、オトコの体になって!!
結婚しても、子どもがつくれないと周囲に知れたら、殺されるかもし・・」

その激しい言葉に、リアランは目を閉じた。
顔が真っ青になり、そのまま、
チェイサーの胸に崩れ落ちた。
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