トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
チェイサーはその言葉に、どうしようもなく
リアランを強く抱きしめた。

あの時の夢と同じだ・・
あの娘は・・
リアラン様だったのか。

「俺と・・一緒に行きますか?」

リアランは答える代わりに、
頭を胸に寄せて、その襟をつかむ指に力が入った。

「チェイサー!! リアラン様を離せ!!」

後ろで、ブラントンが仁王立ちしている。

「リアラン様、お戻りを。
別の部屋を準備させていますから」

リアランの肩が、震えている。

「だめだ!俺が一緒に連れて行く」

チェイサーは、リアランを抱きしめながら、大声で言った。

ブラントンは顔をしかめて、怒鳴った。

「チェイサー、王族を誘拐するつもりか!
殺されても文句は言えんぞ!!」

ブラントンは、腰から剣を抜き、
チェイサーにつきつけた。

「リアラン様、お戻りを。
この男を、犯罪者にしたくはないでしょう?」

チェイサーの腕の中で、リアランの体が強張った。

「リアラン様は渡さない!
ブラントン、お前にもその方が、都合がいいはずだ」

グルルルル・・・

ダリルが、ブラントンに向けて、
歯をむき出し、体を低くして攻撃態勢になった。
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