君の全部になりたい【完】
「……小川さんに告白されたんでしょ?」
「なんでそれを知って、」
大きく目を見開いて、明らかに動揺する爽に、言葉を被せる。
「つ、付き合っちゃうのっ?」
感情のストッパーが効かなくなって、涙が目から出てきて、言葉が詰まる。
「っ、」
「やだよっ、」
「え、?」
「付き合わないでっ、嫌だよ、爽っ」
爽の腕を掴んで、必死に縋ってしまう。
好きだから、どうしても嫌なの。
取られたくないの。わがままだよね。分かってる。
「っ、…付き合わないよ。ちゃんと断ってきたから。」
告白されたことは本当なんだ。
「本当?」
「ほんとだよ。」
安心させるように微笑む爽に、釘付けになる。
「よかった…」
ポロポロ溢れる涙。
感情は言葉になって伝えてしまいそうになる。
好きって言えたらいいのに。