君の全部になりたい【完】

♪〜〜



「前…後ろ…」



小さい声で、練習の時みたいにステップを教えてくれる爽。



「美桜、俺を見て。」


「っ、」


そんな言葉、今言って動揺させないで、


密着する身体に、クラクラする。



真っ白になってしまいそうだけどなんとか耐えて、曲に集中して今までの成果を出す。



「上手、上手」



そういって、全てをリードしてくれる爽。


新堂くんのステップなんてやったことないはずなのに、どうしてこんなにも完璧なのかと不思議に思う。



「美桜、綺麗だよ。」



踊り終わった後、礼をして拍手を浴びる中、



私のことを見つめて、そう呟く爽は本当にずるいと、思う。

< 116 / 135 >

この作品をシェア

pagetop