君の全部になりたい【完】
♪〜〜
「前…後ろ…」
小さい声で、練習の時みたいにステップを教えてくれる爽。
「美桜、俺を見て。」
「っ、」
そんな言葉、今言って動揺させないで、
密着する身体に、クラクラする。
真っ白になってしまいそうだけどなんとか耐えて、曲に集中して今までの成果を出す。
「上手、上手」
そういって、全てをリードしてくれる爽。
新堂くんのステップなんてやったことないはずなのに、どうしてこんなにも完璧なのかと不思議に思う。
「美桜、綺麗だよ。」
踊り終わった後、礼をして拍手を浴びる中、
私のことを見つめて、そう呟く爽は本当にずるいと、思う。