君の全部になりたい【完】
「いやー、よかったですね。審査対象であればグランプリ候補だった2人だったかもしれません!!」
興奮した様子で話してくれる司会の人。
それくらい上手く踊れたみたいで安堵のため息を漏らす。
全ては爽のおかげだね。
「爽、今日は本当にありがとう。」
出番が終わり舞台袖、声をかける。
「いいえ、美桜様のためならなんでもします。」
そうやって、当たり前に、いつでも、なんでもして、助けてくれる。
無限に包み込んでくれるんだ。
…それは執事だから?
「…爽っ」
溢れる思い、言ってしまいそうなって、なんとか思い止まった。
「どうしました?」
「……なんでも、ない。」
好き、って言いたい。