君の全部になりたい【完】
12.執事とお嬢様それ以上でも以下でもない
「美桜、誕生日プレゼントは何がいい?」
誕生日を1週間後に控えた夜、久しぶりにパパとママと3人で晩御飯を食べているとパパが思い出したかのように聞いてくる。
「んー…」
去年は小型の船で、その前は私の好きなアーティストにサプライズでライブしてもらったっけ。
今年は何も思い浮かばないなぁ。
あ、そうだ。
「私、遊園地に行きたい。」
「いいじゃないか。どこの遊園地だ?貸切にしよう。」
サイコロステーキを頬張りながら、そういうパパ。
「違うの、貸切にしなくていいから、爽と行きたい。」
爽と、幼馴染の爽と普通に出かけたい。
「爽…と?」
驚いた顔をするパパに、自分が何も考えず口走ってしまったことを後悔する。
こんな言い方、デートしたいって言ってるようなもんだよね。