君の全部になりたい【完】


それから私たちは、完全に"お嬢様と執事"になった。


もう幼馴染には戻れない、


恋人になることもない。


先なんてない。



「美桜、ちょっと来て。」


爽が何やら用事をしていて、私の側にいないタイミングでママから呼び出される。


まるで見計らってたみたいに。


「?…どうしたの?」


ママの寝室に入ってベットに座る。


「最近、元気ないように見えるけど、どうしたの?」



耳についたピアスを揺らし、首を傾げるママ。


…バレてたんだ。



「…どうもしてないよ。」


こんなこというわけにもいかない。


隠すことができてなかった自分が情けない。


「もしかして爽くんと何かあった…?」



「え、」


驚いて顔を上げると、全てを分かってるような顔をするママ。


やっぱりね、って、



「ママね、いつか来るってなんとなく分かってた。…美桜が爽くんのこと好きになる日。」



「ママ……」

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